福祉

支援する際に考えるべき「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」

突然ですが問題です。

問題

中学生A~Eが学習している。
A|社会科に興味があり自ら進んで学習するが、テストのために勉強することが嫌いである。
B|テストで良い点を取るために勉強するが、学習内容には関心がない
C|何事に対しても優れた成果を出すために努力し、学習に取り組む時間が長い。
D|親や教師に叱られることを避けるために勉強することが多く、学習が楽しいと思ったことはない
E|勉強しないと不安になる傾向があり、学習時間が長い。
内発的動機づけによる学習をしている者として、正しいものを1つ選べ。

公認心理師第1回試験 問145より

 

いかがでしょうか?

答えは……

「A」です

 

さて突然こんな問題を出したのは、今回支援するにあたって「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」を考えてみようという主題だからです。

 

「内発的動機づけ」「外発的動機づけ」とは?

そもそも「内発的動機づけ」「外発的動機づけ」とは何なのか?

「内発的動機づけ」は
行動自体が目的となっている動機づけのことです。
自身の内側からくる感情・考え・価値観などに基づいて行動をすることです。
つまりは自分がやりたいからやっているという状態ですね。

「外発的動機づけ」は
行動に対する報酬が目的となっている動機づけのことです。
外的な報酬(給料や他者の評価など)に基づいて行動をすることです。
本当はやりたいわけではないけど、報酬があるからやっているという状態ですね。

人間の行動は大別するとこの2種類に分けられるということです。
ただ、ハッキリとどちらかに分類されるかというと、そうではなく
「内発的動機づけ」も「外発的動機づけ」も両方あるという状態もあると考えています。

 

どちらが成果が出やすいか?

一般的には「内発的動機づけ」による行動の方が成果が出やすいと言われています。

少し想像してみてください。

親に怒られるのが嫌だから仕方なく英語の勉強しているAくんと語学に関心があり英語を勉強していくことで将来留学したいと考えているBくんでは、どちらが成果に結びつきやすいでしょうか?

もちろんBくんです。
Aくんの親に怒られたくない(外発的動機づけ)とBくんの語学に関心がある(内発的動機づけ)では、Bくんの動機づけの方が強く、行動に繋がりやすいだろうことは容易に想像できます。

「外発的動機づけ」による行動で全く成果が出ないかというとそういうわけではありませんが、支援するにあたってはいかに「内発的動機づけ」を引き出すか? というのが一つの焦点になります。

 

「内発的動機づけ」をいかに引き出すか

おそらくソーシャルワーカーや福祉職の支援者が支援の対象とする方々のほとんどは「内発的動機づけ」によって行動することが難しい状態にあると思われます。

「内発的動機づけ」は自己肯定感や自己効力感が高い人の方が生じやすいですが、支援の対象となる方は自己肯定感や自己効力感が下がっている場合がほとんどだからです。

自己肯定感|自分を肯定する力
自己効力感|行動による結果を自分でコントロール出来ているという感覚

自己肯定感や自己効力感が下がっている要因は様々だと思いますが、誰かに批判される体験や失敗体験などが主な要因です。

つまりはこの逆をいくことで自己肯定感、自己効力感を高め「内発的動機づけ」を引き出すことにも繋がっていきます。

  • 支援者はその人自身を否定することなく肯定する
  • 小さな成功体験を積み重ねられるように環境調整する

こういった積み重ねが重要です。

 

「内発的動機づけ」を引き出すための「外発的動機づけ」

「内発的動機づけ」をいかに引き出すかという話をしてきましたが、「外発的動機づけ」が良くないということではありません。

働かれている方のほとんどは給料がもらえるから働いている。つまりは「外発的動機づけ」によって働いているわけです。
それだけでプライベートで何の楽しみもないってなってしまうと、ちょっとしんどいなーと思いますが

「仕事はお金のため、好きなこと・趣味はプライベートで思いっきり楽しむ!」

と割り切っている方なんかは、仕事は「外発的動機づけ」でしていくことに大きな問題はないかと思います。

 

ただ最初は給料が良いからという理由だけで就職した(外発的動機づけ)という方でも働いていくうちにやりがいを感じ、次第に「内発的動機づけ」も育ってくることもあります。

つまり、最初の行動のための取っ掛かりは「外発的動機づけ」を使うということは効果的なのです。

「外発的動機づけ」はお金に限った話ではありません。
児童の支援であれば、お手伝いをするとシールを貼ってもらえるということも「外発的動機づけ」です。

支援者は利用者の「内発的動機づけ」を引き出すために外的な報酬(外発的動機づけ)をいかに使うかということも非常に重要なポイントなのです。

 

個別支援計画書等を作成する際にも意識してみよう

現在の福祉サービスでは利用者を支援するにあたっての計画書を作成します。

計画書を作成する際にも「内発的動機づけ」「外発的動機づけ」を意識してみてください。
「内発的動機づけ」も「外発的動機づけ」もないのに利用者に行動を促したところで、きっとその計画書は絵に描いた餅になってしまいます。

計画書に記載されている利用者の行動はどういった動機づけによって促されるのか?
「内発的動機づけ」を引き出していくために「外発的動機づけ」をいかに使うのか?

これらを意識するだけでも具体的かつ効果的な計画書になっていくと思いますよ。

 

まとめ

  • 人間の行動には「内発的動機づけ」「外発的動機づけ」のどちらか、もしくはその両方がある
  • 「内発的動機づけ」の方が成果は出やすい
  • 「外発的動機づけ」を取っ掛かりに「内発的動機づけ」を引き出すきっかけを作れる
  • いかに「内発的動機づけ」を引き出していくかが支援のポイントのひとつである
  • 支援計画を作っていく際にも意識することが重要
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