今回は救護施設は将来どうなっていくのか、また救護施設は未来に向かって今どういう動きをしているのかをお伝えしていきます。
そして5回続いたこのシリーズは今回で最終回となります。
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現在の救護施設の動き
救護施設には全国救護施設協議会というものが存在します。
全国救護施設協議会の全国大会は毎年開催され、行動指針を示し、全国の救護施設が合わせて行動してきました。
まずは、その行動指針を見ながら現在の救護施設の取り組みを見ていきましょう。
全ての救護施設が取り組むべき事業
平成25年度の行動指針において、一時入所事業における緊急保護や居宅生活訓練事業は全国の全ての救護施設が27年度までに達成するようされており、現在では達成されているようです。
これによりセーフティネットとしての緊急一時保護の機能が強化されました。
救護施設は生活保護法の性質上、中間施設・通過型施設とも言われます。
居宅生活訓練事業を全ての救護施設が実施したことにより、生活保護受給者を自立させていく機能も強化されたと言えるでしょう。
その他にも平成25年の行動指針には様々なことをフェーズごとに分けて提示しています。
具体的に期日や達成率を求めましたので、救護施設の取り組みとしては画期的であったと筆者は感じています。
生活困窮者自立支援制度
平成28年度に示された行動指針(第二次行動指針)では25年度の行動指針をさらに進めると共に重点的に推し進めるとして、2項目が示されました。
- 生活困窮者自立支援による就労支援(就労訓練支援・就労準備支援)いわゆる中間的就労の認定を全ての救護施設が受けることを目指す。
- 包括的な相談支援機能の設置・運営、または相談支援ネットワークの構築、参画や実施協力に積極的に取り組む
生活困窮者自立支援法についてはまた別記事で取り上げることとしますので詳細は割愛しますが、要は生活保護におちいる前に支援・介入しましょうという制度。
生活困窮者自立支援法に規定されている就労支援制度の認定を受けましょうというのが今回の行動指針の肝なわけですが、これは地域にもよるのかもしれませんが、すでに作業等行っている救護施設が多いこともあり、市の方からやってくれと言われる救護施設も少なくなかったようです。
問題は2つ目の相談支援です。
これは生活困窮者自立支援法に規定されている自立相談支援事業もしくはそれに類する事業を設置・運営するよう行動指針では求められていますが、措置施設であることに甘んじてきた救護施設は、自分たちをアピールする能力が低く、認知度も低い状態です。
そんなところへ誰が相談にくるでしょう?
この相談支援機能を強化していくためには救護施設の宣伝・アピール、認知度の向上が欠かせません。
措置施設であることに甘んじることなく積極的に動いていかなければ、救護施設に未来はないと筆者は感じています。
救護施設の「見える化」
第三次行動指針(平成30年現在、最新の行動指針)では第二次行動指針で示された生活困窮者自立支援制度による就労支援事業を全救護施設が実施することに加えて、救護施設の「見える化」を進めることとしました。
これは以前にもお伝えしたように国からも救護施設の必要性を認知されていないことに起因しています。
明確に差別化を図るためには救護施設の「見える化」が欠かせないということです。
具体的には
- 会員施設における第三者評価の受審の促進
- 福祉サービスの質の向上
となっています。
正直筆者としてはこれでは弱いのではないか・・・と思っています。
会員施設とはつまり他の救護施設ということです。
内輪での評価では世間は認めないのではないでしょうか?本当に「見える化」に繋がるのか疑問です。
救護施設の未来
今後ますます救護施設の運営は厳しくなっていくと思われます。
措置施設であることに甘んじることなく様々な事業に乗り出していくべきです。
そして積極的に救護施設を宣伝・アピールしていくことです。
結局のところそれが一番「見える化」に繋がるのではないかと考えます。
救護施設は日本の最後のセーフティネットとして様々なノウハウや知識・技術を蓄えています。それは他では絶対に代用できないものです。
救護施設職員はもっと自分たちの能力を認めてもよいのです。
日本の最底辺を支えているあなた達はすごい。誰にでも出来ることじゃない。
世間では生活保護受給者に対するバッシングや批判が多くありますが、それを変えていけるのは救護施設ではないかと筆者は考えています。
今後生活保護法がどうなっていくかはわかりません。
ベーシックインカムに取って代わるかもしれません。
それでも最後のセーフティネットとしての救護施設は必ず必要です。
お金の問題だけではないのだから。
さいごに
このシリーズは救護施設で10年勤務してきた筆者の視点で書いています。
地域によっては違うこともあるかもしれませんが、リアルな話です。
厳しいことも書いていますし、もしかすると関係者には批判も受けるかもしれません。
それでも筆者は救護施設の可能性を最も信じている者のひとりです。
日本を縁の下からさせている救護施設が消滅してしまっては日本に未来はありません。
救護施設を残していくためには措置としての機能だけではなく、時代に合わせて積極的に行動していかなければいけません。
救護施設にはそれが出来るはずです。
今までもそうしてきたのだから。
書籍紹介
救護施設に関する書籍は少ないのが現状ですが、紹介しておきます。
ご興味のある方はぜひ読んでみてください。
取材・執筆・相談・写真撮影・広告掲載など
お仕事のご依頼を受け付けております。
今現在ケースワーカーとして働いております。私自身救護施設について知らないこともあるのですが、少しお聞きしたいことがあります。
良ければメールください。
なかさんコメントありがとうございます!
メールさせていただきますね!