東洋経済より 生活困窮者を囲い込む「大規模無低」のカラクリ という記事が出ました。
これは非常に由々しきことで以前より問題視しています。
Contents
劣悪な住環境と高額な料金
無料低額宿泊所の全てがそうだとは言いませんが、一部の無料低額宿泊所ではかなり劣悪な住環境で生活保護受給者を住まわせています。
1つの部屋をボードなどで仕切って3畳ほどの空間に押し込んだり、2段ベッドに寝かせているなんてことはよくある話だ。
こんな状況で高額な料金を支払わせ、自由に使えるお金は3万円も残らない。
生活保護でも普通に部屋を借りれば、家賃は生活保護で出してくれる(もちろん上限はあるが、地域によるため詳細は割愛)
単身世帯であれば、住む地域や障害等の状況にもよるが概ね7~10万ほどは残るだろう。
もちろんそこから光熱費や電話代、食費などを支払っていかなければいけないが、自由に使えるお金は多い。
それに住環境もそこまで悪くない物件も多数ある。
何故取り締まらないのか
記事では行政との依存的関係について書かれている。
まさか、無料低額宿泊所を前提とするような生活保護申請の受付を行っているような自治体があるとは信じられない。
これは明らかな人権侵害にあたると私は考える。
以前の記事で書いたが、行政や国は無料低額宿泊所の規制、取締はなかなか進まないが、救護施設の必要性については疑問視されている。

救護施設についてはシリーズで第5回まで書いているのでご興味があれば、そちらも参照してほしい。
マンパワーや人権意識の問題
何故こういったことが起きているのか?
一番の問題はマンパワー不足だ。
生活保護の分野に限らず福祉業界全体に言えることだが、まずそもそも国の予算が少ない。
だから人も少ない。
人間は自分の余裕がないと他人に優しくすることは難しくなる。
目の前の仕事をこなしていくことで必死になれば人権がどうこうなんて言ってられなくなってくるだろう。
そう人権意識の低下にもつながってくるのだ。
そして何とか業務をこなしていくだけのシステムが構築されていく。
今回の東洋経済の記事に書かれている生活保護申請の場面もこういった事情からシステム化されたのだろうと想像できる。
解決の糸口はあるのか
現実問題として福祉事務所だけでこれを解決していくことは困難なのではないかと考える。
民間の法人と協力していくことは必須だ。
ただし、今回の東洋経済の記事に書かれているような特定の法人と悪いつながりになるのは避けたいところだ。
私は福祉事務所のケースワーク業務の一部外注化には実は少し期待している。
それを救護施設が担っていくことになると思われる。

救護施設は増やした方がいい
京都市で救護施設建設をしようとしたところ住民の反対にあっているニュースは記憶に新しい。
しかし救護施設を作ることで本当に治安は悪化するだろうか?
無料低額宿泊所の方が治安は悪くなるのでは
無料低額宿泊所は外見はアパートと変わらないため、住民も無料低額宿泊所であるとは気づいていないことも多いだろう。
目立たないため反対もされにくいと想像できるが、果たして安全か?
無料低額宿泊所に入っている人たちは危険な人たちだと言いたいわけではない。
劣悪な環境での生活を強いられ、脱走するほど精神を落ち詰められていることが危険なのである。
脱走者をたくさん出すような無料低額宿泊所がある地域は果たして治安が良いと言えるのだろうか?
救護施設がある方が安全
救護施設では相部屋もあるが、そこまで住環境は劣悪ではない。
食事やお風呂も普通にあるし、旅行などに行かせてもらえるところもあり、精神状態は良好なことがほとんどだ。
仮に精神状態が悪化したとしてもほとんどの救護施設では精神科病院等の医療と連携しているため、ちゃんと対処できる環境・設備が整っている。
それでも救護施設は安全でないと言うのだろうか?
きれいな世界で生きたい人たち
こういった施設の建設を反対するというケースが相次いでいる。
汚いものには蓋をして、きれいな世界で生きていたいのだろう。
しかし現実は
- あなたも障害や病気になる可能性はある
- リストラにあって貧困に陥る可能性はある
- あなたの周りの家族や友人が上記のようなことで悩んでいることもある
そこに目をそむけて生きていくのですか?
まとめ
結局のところ今の日本人のほとんどは余裕がないのだろうと私は思う。
だから他人のことを思いやることができない。
それはすごく悲しいことだ。
だからまずは自分に優しくあってほしい。
自分に厳しくし続けた先には、あなたが目をそむけ続けてきた未来が待っているかもしれません。
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