福祉

障害福祉サービスは儲かるのか?

障害福祉サービスは儲かるのか?

これを論ずるためには
・具体的な数字の根拠
・必要な人的エネルギー

の両方の観点が必要ではないかと感じています。

 

福祉でビジネスをしてはいけないとはぼくは思っていませんが、ビジネスライクに全てのサービスを完結できるとも思っていません。
つまり、そこで働く人のエネルギーがどの程度必要なのか、メンタルの問題についても考えていく必要があるかと思います。

 

先に結論を言うと、障害福祉サービスで儲けることは可能だが、ある程度のビジネスライク(割り切り)は必要と感じています。
しかし、福祉が果たす役割としてそれで本当に良いのだろうか?

まずは数字の面から見ていきましょう。

 

就労移行支援事業所の場合

就労移行支援事業所の単価は定員の人数と就労定着率の割合によって決まる。

就労定着率|就労移行支援事業所を利用し、就職して6ヶ月間職場定着した人の割合

 

今回は定員20名以下、定着率3割以上4割未満の場合で考えていきます。
他にも加算等ありますが、単純化するために今回は割愛します。

この条件の場合、1利用につき単価は820単位です。
20日間開所して、1日の利用人数が20人だとしたら月328,000単位になります。

単位を円に変換する掛け率は地域区分によって異なりますが、今回は地域区分4級地で計算します。
4級地は1単位=10.71円です。

これを計算すると月の売上は

3,512,880円 となります。

 

経費をどれくらいかけるかはそれぞれだとは思いますが、これもざっくり計算してみます。

家賃|20万円
光熱水費|2万円
人件費|1人あたり30万円 × 6名 = 180万円
雑費等|5万円
合計|207万円

売上から経費を引くと

1,442,880円

これが利益ですね。

これはざっくり計算なので、給料が上がっていってもっと人件費がかかるかもしれませんし、車を所有していたら経費も高くなると思いますが、自分で計算してみて思ったより儲かるんだなと思いました。

ただこれはあくまで割と上手くいっているケースで、就労移行支援事業は就職者を出していかないと単価は下がりますし、就職者を出した分、新規契約者を入れていかないと売上が上がらないという自転車操業です。

 

同じ条件で単価も利用者も減ってしまった場合も計算してみましょう。

定着者が1割以上2割未満の場合を想定して、単価が557単位
月20日開所で、1日の利用数が10人とします。

月単価|111,400単位
売上|1,193,094円

先程と同じ経費を引くと

-876,906円!!

大赤字です(笑)

油断するとすぐに転落していきそうなので、これは要注意ですね。

 

必要なエネルギーはいかほどか

さて、最初に障害福祉サービスは儲かるのかを論ずるにあたっては
・具体的な数字の根拠
・必要な人的エネルギー
の2点を考えていく必要があることを最初にお話しました。

数字の次は人的エネルギーについて考えていきたいと思います。

まず前提として対人援助職は感情労働(第3の労働)と言われており、それ以前に存在していた肉体労働や知的労働に比べても精神的なエネルギーを多く必要とするなんてことが言われたりもします。

そもそもが人と関わることってものすごいエネルギーが必要なんですよね。
筆者であるわたくしは1日に3件も面談したらヘロヘロですよ。

そして一番の問題点は制度の構造的に
努力すれば成果(数字)が出るというわけではないこと。

これがなかなかに厄介なのです。

 

例えば数字の話で出した就労移行支援事業所でいうと、5割以上の就職者(定着者)を排出していくことは損にしかならないわけですよ。

そうなると
就職させない方が儲かる = 利用者の抱え込みが発生する!?

なんてことが起こりうるわけです。

経営者の目線だと、就職者を出して儲からないなら出すな!
現場の目線だと、そんなわけにはいかない。だってこの人頑張れば就職出来るから!

でも悲しいかな大抵の場合は経営者の方が強いですから、現場のスタッフはジレンマに陥るわけですね。

ここで消費される精神的エネルギーは膨大です。

 

制度内だけで利益を追求することは誰も幸せにしない

就労移行支援に限った話ではなく、その人のために支援を追求することと利益の追求は相反することが多々あります。

これは個人や法人単位でどうにかなるものではなく、制度の構造的問題です。
なぜ、このような制度設計になっているのでしょうか。

よく、生活保護は最後のセーフティーネットと言われますが、他の福祉サービスに関しても生活保護に準ずるものだと筆者は認識しています。

そう考えると福祉サービスを提供する事業者に対しての単価が低いことも頷けます。
よく単価を改正する際には、もっと上げてほしいみたいな声はよく聞きますが、そこに依存していてばかりでは駄目なんだろうなとも思うわけです。

ではどうすればいいのか?
普通のサービスを提供すればいいのではないか?と筆者は思います。

障害福祉サービスを提供している法人だから他のことをしてはいけないということはなく、試行錯誤して様々なサービスを提供している法人はたくさんあります。

それに利用者側にとってもこれはメリットのあることです。

どうか支援をする利用者のためにも、そこで働くスタッフのためにも福祉という枠組みだけで物事を考えてほしくないな。

そう願わずにはいられないのです。

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