タイトルを見て、そんなバカなと思った人も少なくないのではないでしょうか。
事例も交えながら、どういうことなのか見ていきたいと思います。
統合失調症のAさん
Aさんはひとり暮らしでヘルパー等の福祉サービスを利用しながら地域で生活をしていましたが、病状が悪化し精神科病院に入院することになりました。
入院は長引き、退院するまでに3年の月日を要しました。
再びひとり暮らしを開始したAさんですが、今まで1人でできていたはずの洗濯や公共交通機関の利用が出来なくなっていたのです。
これでは福祉サービスの見直しを行わければならず大変です。
何故できなくなってしまったのでしょうか。
人は環境に左右される生き物
多くの精神科病院では洗濯は看護師や業者が代わりにしています。
(もちろんそうでないこともあります)
また外出許可が出ないなど、外出の機会が奪われていることも少なくありません。
許可が出たとしても院内に売店などがあり、ほとんどの物がそこで買えるため、院外に外出する必要性がない場合もあるでしょう。
そんな生活が3年も続けばどうでしょう?
洗濯や公共交通機関の利用が出来なくなっていたとしても不思議ではありません。
社会性が失われていく
病院や施設での生活が長くなると社会性が失われていくことがよくあります。
社会で生きていくうえで必要となってくるスキルが失われるのです。
社会性とひとことで言っても多岐に渡りますが、例えば
- お金の概念が希薄化する
- どういう行為が人に迷惑をかけるのか判別できなくなる(騒音等)
- 協調性がなくなり、集団行動が難しくなる
- 感情鈍化もしくは感情の起伏が激しくなる
など。
社会性は子どもの頃から育っていく過程で養われていくものです。
それが失われていくとあらゆることが出来なくなっていきます。
生きるチカラを奪っている可能性を忘れてはいけない
統合失調症のAさんを例に見てきましたが、これはあらゆる場面で言えることです。
病院や施設、刑務所など。
そういった場面で関わるソーシャルワーカーはその環境がその人自身の社会性や生きるチカラを奪っている可能性を忘れてはいけません。
また出来る限り地域での生活が望ましく安易に施設や病院に入れるべきではないとも思います。
当然、施設に入らざるを得ない時や病院での入院治療が必要な場面もありますが、まずは地域でいかにして生活してもらえるかを考えるべきです。
また施設入所後、入院後も再度地域で生活していくためには、どのように支援していくべきかという視点は絶対に必要です。
当たり前の生活を取り戻す
その人が本当に望んでいる生活はどういったものなのか。
施設での生活、病院での入院生活を心から望んでいる人がいるでしょうか?
本人が「施設で生活したいです」と言ったとしても、それを安易に受け止めてはいけません。
それはきっと『諦め』『不安』『家族の迷惑をかけたくない』など様々な感情が入り混じっての発言なのだと思います。
私はどんなに障害や病気があっても自分が望む生活は諦めてほしくない。
あなたの素直な本当の気持ちを話してほしい。
そしてどうか諦めないでほしい。
まとめ
ソーシャルワーカーが生きるチカラを奪っているだなんて・・・何のためのソーシャルワーカーだと思うかもしれませんが、事実ケースとしてはたくさんあることです。
特に施設生活をされている方は、それがもはや当たり前になってしまっているのです。
そんなことは当たり前ではない。
どうやったら地域で本人が真に望む生活を実現できるのか。
ソーシャルワーカーはそういった視点で考えないといけない。
参考
この記事はすごく参考になりました。
ソーシャルワーカーと利用者の関係にも言えることだと思い、この記事を書くきっかけになりました。
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