今でも福祉業界では、通信手段としてFAXが使われることは珍しくないと思います。
しかし、FAXを使い続けるには、相手にFAXがなかったり、FAX送信が手間だったり、若いスタッフは使い方がわからなかったりと弊害もたくさん出てきそうです。
なぜ今もFAXが使い続けられているのか、なぜなくならないのか一緒に考えてみましょう。
FAXはセキュリティ面で優秀
まずはこちらの記事を見てほしい。
医療・警察関係でFAXがなくならないのには理由がある FAX全廃がもたらすセキュリティ欠陥
2021年7月の記事ですが、この時に河野太郎行政・規制改革担当相が、省庁などでFAXの使用廃止の方針を示しました。
すると、たくさんの反対意見が出たということです。
特に行政や警察・病院など機密情報を扱うところでは、安易にIT化を進めてセキュリティリスクを負うよりはFAXを使い続けた方が良いというのは、一定の理解はできます。
では、FAXは何故セキュリティ面で優秀なのでしょうか?
インターネット回線を通らない
一般的にセキュリティリスクを考える際には、インターネットを介することによるリスクを検討するかと思います。
しかし、FAXは基本的に電話回線しか通らないため、インターネット回線よりもセキュリティ面で優秀と言えます。
FAXはメールやチャットよりも安全か?
しかしながら、セキュリティを考える際には、インターネット以外のリスクも本来考えるべきだと思います。
ここでは、FAXのセキュリティ面でのリスクについて考えていきます。
まずはこちらの記事をごらんください。
ファックスはメールより安全か? 中途半端なDXはセキュリティーや業務効率を下げる
盗難・紛失リスク
FAXは当然ながら紙で出力されるため、盗み見されたり、盗まれたり、紛失してしまうなどのリスクがあります。
これは故意的じゃなくても起こり得ます。
ぼくが以前に勤めていた職場ではコピー機がFAXの機能も持っていて、印刷したときに紙が出てくるところからFAXも出てくるのですが、他の方が印刷したときに誤って一緒に持っていってしまうなどがありました。
すぐに気付けばいいのですが、気づかないままになってしまうこともあるかもしれません。
ダイヤルミス
電話帳や短縮ダイヤルを使えばFAXで送り間違えることはないと本気で言っている人もいるようです。
本当にそうでしょうか??
人がすることにミスがないとは思えません。
もちろんメールやチャットでも送信ミスは起こり得ますが、どちらも対策可能です。
例えばGmailであれば、送信ボタンを押した後に実際に送信されるまでのタイムラグを設定することができます。
タイムラグの時間を30秒に設定しておけば、送信ミスに気づけば30秒以内であれば送信取り消しすることができるというわけです。
チャットもほとんどのサービスでチャットの削除ができるので、すぐ削除すれば相手に見られずに済むこともあります。
FAXは送ってしまえば取り消すことはできません。
時間がかかりすぎる
少し古い記事ですが、まずはこちらの記事を見てほしい。
認定NPO法人フローレンス駒崎さんの記事で、当時ニュースでかなり取り上げられていた児童虐待のことについて書かれている。
児童虐待をしていた家は転居してしまい、所在が不明になるのですが、児相が探すために用いたのは、FAXで、全児相にFAXを送るという手段を取ったのです。
ただでさえマンパワーが足りない中、FAXで1件1件送るのは大変な作業だと思います。
しかし、これもクラウドやデータベースが整備されていれば、すぐに解決できた問題だったのではないかと語られています。
結果として、この児童は命を落とすことになりました。
E-FAX(インターネットファックス)の存在
FAXサービスの中には、インターネットを介してパソコンでFAXの送受信ができるサービスがあります。
「インターネットを介して」です。
FAXの強みであったインターネット回線を通らないということが覆されてしまうのです。
うちは普通のFAX使っているよって方も相手がインターネットファックスであれば同じです。
ちなみにインターネットファックス自体はめっちゃ便利ですよ。
わからないというハードル
セキュリティ面を見てみてもFAXが圧倒的に安全とは言い難いことが見てきたのではないかと思います。
では、何故IT化が進まないのでしょう?
単純にわからない
もう一番の理由はこれなんじゃないかと思います。
セキュリティがどうのこうの言いつつ、わからないだけじゃないかと。
そもそも「セキュリティ、セキュリティ」と言っている人たちが一番セキュリティについて何も知らなくて、パソコンにロックもかけてないなんてのをぼくは、見てきました…。
わからないままの導入も危険
ただ、わからないから導入しないというのも一理あるわけで…。
わからないままに導入しても使いこなせなかったり、逆に手間が増えるなんてことも有りえます。
まとめ
今回は何故、福祉業界でFAXが今でも使い続けられているのか、何故なくならないのかについて考察してみました。
セキュリティ面でFAXが断トツ優れているということはなく、メールやチャットもしっかりセキュリティ対策をすれば、大きな問題はないように感じます。
しかし、「わからない」という心理的ハードルや使いこなせないことによるミスやセキュリティの問題など、安易に導入できない理由も確かにあります。
解決するためには、ITリテラシーの底上げが急務です!