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ChatGPTに個別支援計画書を書かせてみた そしたら福祉の未来が見えてきた

今回は、前回ChatGPTの紹介の際にもちょっとだけやりましたAIに個別支援計画書を書かせてみるの第2弾みたいな形になります。

ChatGPT(第1弾)についてまだ見ていない方はこちらからどうぞ。

ChatGPTとは? 始め方や使い方を解説。様々な活用ができる対話型AIツールChatGPTの始め方や活用方法について解説!特にAIに個別支援計画書を作成してみてもらっているので福祉職の方は必見です。...

前回は、チャット形式でChatGPTに個別支援計画書の作成してもらいましたが、あれでは、個別支援計画書とは言えないですよね。

今回は、個別支援計画書の様式に実際にChatGPTに入れてもらって、そのまま利用者さんに見せられる状態を目指します。

結論から言うと、ChatGPTに個別支援計画書を作成してもらうことはできました。

APIキーを取得し、スプレッドシートにアドオンを追加する

急に専門用語が多くて申し訳ありません。

ちゃんと説明するので、ご安心ください!

APIキーとは、特定のプログラムを別の場所で動作させるための鍵と思ってください。

今回は、ChatGPTのAPIキーを使うわけなのですが、このへんの詳細はまた別記事にしますね。

スプレッドシートはExcelとほぼ一緒ですが、オンラインで動作するのが特徴です。

詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

福祉現場で働く初心者のためのGoogleスプレッドシート入門福祉現場におけるスプレッドシートの使い方や活用方法について紹介しています。Excelを使っているけど共有が面倒だなと感じているのであれば必見です。...

アドオンとは、拡張機能のことです。

今回は、「GPT for Google Sheets and Docs」というアドオンを使ってスプレッドシート上でChatGPTが動作するようにしていくのですが、このへんも今回の趣旨とはずれてきてしまうので、詳細は別記事にします。

事前準備として、APIキーの取得、アドオンをインストール、そしてスプレッドシート上に個別支援計画書の様式を作りました。

完成!ChatGPTが作った個別支援計画書

はい、完成です!

下の方が切れてしまっていて申し訳ありませんが、今回は長期目標と短期目標1~3(本人の取り組み&支援内容も含む)まですべてChatGPTが入力してくれています。

これをどのようにして、ChatGPTに作ってもらったのかお伝えしていきますね。

架空のケースを紹介

その前にどんな架空のケースで個別支援計画書を作ってもらったのか。

今回、ChatGPTに提示した架空のケースがこちらです。

架空のケース Aさん

Aさんは就労移行支援事業所で3ヶ月の体験を経て、本利用することになりました。

そのため個別支援計画書の作成が必要です。

Aさんは22歳の発達障害の方です。

診断名は自閉スペクトラム症。

こだわりが強く、頑固な面があります。

時間になっても作業が終えられず、昼食も食べずに作業をし続けることもあります。

将来的には、障害者雇用で就職を考えていますが、上記のことが課題でまだまだ就職は難しいと考えています。

情報が少なめですが、今回はあくまでテストなので、簡単なものです。

前回やったようにChatGPTにアセスメントしてもらったうえで個別支援計画書を作成してもらうことも可能です。

個別支援計画書作成のプロンプトを紹介

完成画像で見せた際には、A列を非表示にしていましたが、そこにプロンプトを隠しています。A13にプロンプトを入れて、A14でChatGPTに回答をしてもらっています。

プロンプトは以下。

あなたは、就労移行支援事業所で働くサービス管理責任者です。
シートに個別支援計画書のフォーマットがあるので、それに従って以下の架空のケースの研修用の個別支援計画書を作成してください。

【架空のケースAさん】
架空のケースを入れる。

【個別支援計画書のルール】
個別支援計画書は、以下の形式で書いてください。
・長期目標
・短期目標1
・短期目標1に対してAさん自身がする取り組み
・短期目標1に対してスタッフの支援内容
・短期目標2
・短期目標2に対してAさん自身がする取り組み
・短期目標2に対してスタッフの支援内容・短期目標1
・短期目標3
・短期目標3に対してAさん自身がする取り組み
・短期目標3に対してスタッフの支援内容

GPT関数を使う

プロンプトを入れて、それにまず全体をChatGPTに回答してもらったわけですが、どうやって回答してもらうんだと思われることでしょう。

ここでは、GPT関数についてお話していきます。

GPT関数:=GPT(prompt)

最も基本形のGPT関数です。

A13のプロンプトについて回答してもらう場合は、以下のようになります。

=GPT(A13)

GPT関数:=GPT(prompt, [value], [temperature], [max_tokens], [model])

基本形のGPT関数に他の追加要素を加えることができます。

因数必要性意味
prompt必須GPTへ送る内容
value任意promptに追加して送る内容
temperature任意創造性の有無 0~1 デフォルト:0
max_tokens任意回答に使用するトークン数 0~4000 デフォルト:256
model任意使用するモデル デフォルト:text-davinci-003

今回は、基本形だけでは、回答が途中で切れてしまったので、追加要素を加えています。

=GPT(A13,0,1,800,)

valueはないので、「0」に設定。

創造性を発揮してほしいので、temperatureは「1」

途中で切れないようにmax_tokensを「800」

モデルは変更しないので記入なしです。

各項目に入力をしてもらう

このままでは、各項目に入力してもらっている状態ではないので、ここからさらに各項目に入力をしていってもらいます。

例えば、長期目標の欄には以下のように関数を入れます。

=GPT(A14,"の長期目標だけを抜き出してここに記載してください")

短期目標等も同じように関数を入れていきます。

注意点としては、このままだと、稀に「長期目標:〇〇です」と入力されてしまうことがあるので、その際は以下のように関数を入れます。

=GPT(A14,"の長期目標だけを抜き出してここに記載してください。「長期目標」という記載は不要")

すべてに関数を入れ終わったら個別支援計画書完成です!

注意点

これで半自動的にChatGPTに個別支援計画書を作成してもらうことができました。

しかし、注意点が多くあり、実用化はできないのが現実です。

どんな注意点があるのか見ていきましょう。

個人情報の問題

ChatGPTは、個人情報の問題から日本以外の各国で規制が拡大しています。

ChatGPTは個人情報も学習し、記憶してしまうため、個人情報を入力することは、とても危険です

幸いにも日本は海外に比べると個人情報に関する規制が弱いので、今でもChatGPTを使えていますが、だからといって個人情報を入力することは控えた方がいいでしょう。

リロード問題

今回、スプレッドシートでChatGPTを使いましたが、これをリロードしたり、一度閉じて再度開くと、関数が再度実行されます。

ChatGPT含めたAIは、いつでも同じ回答をしてくれるわけではないので、開くたびに違う個別支援計画書が生成されてしまいます…。

その個別支援計画書を保存しておきたい場合はExcelやPDFにしてPCに保存しておく必要があります。

料金の問題

ChatGPTのAPIキーを使うことは無料ではありません。

お金がかかってしまいますので、そこまでの価値があるのかといった問題はあります。

しかし、様々な問題をクリアして、ユーザビリティを向上させれば画期的なソフトになりうる可能性はあるだろうと感じます。

今後ChatGPTをどう活用するか?

ChatGPTを活用するうえでは、福祉ソフトなどに組み込んでいく形になるだろうと思いますが、どのように福祉ソフト上でChatGPTを活用するのか、考えうることを記載しておきます。

月次報告書の作成

ChatGPTは文章を要約する能力が非常に高いことが特徴のひとつです。

ケース記録は、福祉の仕事をされている方であれば、毎日つけておられると思います。

そして、事業所によっては、関係機関やご家族に毎月のご本人の様子を報告するためのケース記録を要約したものを作成しているところもあると思います。

ChatGPTは、そこに非常に能力を発揮できるのではないかと思います。

利用者支援サポート

就労移行支援など通所型の事業所では、毎日利用者が来たら、最初にその日の体調や生活リズムなどのシートに書き込むというところも多いと思います。

それをスタッフがすべての利用者と振り返りをしていくことは、なかなかに大変なことです。

それをChatGPTがこなすことは十分に可能ではないかと思います。

もちろんChatGPTにすべてを任せるということではなく、睡眠が取れていなかったり、体調が悪いと入力された利用者にはChatGPTからスタッフに連絡が入り、スタッフが引き継ぎ対応するということが可能なのではないかと考えます。

内省の補助

ご存知のように福祉職は、自己覚知が重要と言われているように、普段から内省する必要性が求められています。

しかし、どのように内省していいのか教えてもらえることは少なく、また多忙であるため、後回しにされがちであると思います。

その内省の補助をChatGPTにしてもらうことは十分に可能だと思います。

まとめ

今回は、ChatGPTに、個別支援計画書を作成してもらってみました。

結論としては、ChatGPTにそれなりの個別支援計画書を作成してもらうことは可能でした。

ただ、個人情報を入力するのは危険なので、本当のケースで個別支援計画書を作成することは絶対にやめてください!

まだまだ課題の多い技術なので、実用化までには、もうちょっと時間がかかるかもしれません。

でも、今からでもその時に活用できるよう、ChatGPTを知っておくこと、触っておくことは、とても重要だと思います。

記事を読んで実際にやってみようと思った方は、ぜひやってみてくださいね。

最後に今回ChatGPTが作成してくれた個別支援計画書のPDFを置いておきます。

じっくり読んでみたい方は、ダウンロードしてもらって大丈夫です。